互いに支え合っていけるように

高齢者の独り暮らしは、健康へのリスクだといわれています。

しかし、ある発表によると、単純に独居であることよりも、他者との関わりが乏しい社会的な孤立こそが健康へのリスクだということが分かりました。これは、健康に問題がなかった高齢者だけが対象の調査に基づくものです。よって、高齢者の誰もが住み慣れた地域で人生をいきいきと潤いあるものにし、それぞれのQOL、つまり生活の質を高めながら心身ともに健康に生きていくため、社会参加と生きがいづくりを推進していくことが大切です。

例えば、現役引退後も、高齢者クラブやシルバー人材センターといった地域活動への参加や就労等を通じて、できる限り健康を維持し、自立した日常生活を続けていくことができれば、結果として介護費用の抑制につながることも期待されます。 また、要介護認定を受けるなどして、既に健康に不安を感じている高齢者は、独居による悪化のリスクが高く、十分な支援体制が必要だとされています。介護施設などに通って受けるデイサービスや通所リハビリのデイケアが、その代表例です。高齢者の心身の状況に応じた、介護を行う介護福祉士などの介護職が欠かせないのです。

このように、可能な限り住み慣れた地域において、継続して自立した生活ができるような生活支援サービスが、包括的かつ継続的に提供される地域包括ケアシステムの構築を図ることが重要です。高齢者の尊厳を守りながらQOLの向上を図り、互いに支え合って暮らせる地域社会の実現が、さらに高齢化が進むこの社会に求められています。